「本当の優しさ」ってどういうことなんだろう?
優しい人になりたい。優しい人でありたい。
そんな思いを持っているからこそ、こういった疑問が心の中に生まれてくるのでしょうね。
優しい人は、生まれつき優しい気質を持っている気がします。しかし、初めから「本当の優しさ」がわかっている人は、まずいないのではないでしょうか。
では、どうやったら「本当の優しさ」に気づいて、「本当の優しさ」を知っていくことができるのでしょう?
今回は「優しそうな人」と「本当に優しい人」の違いを見分ける方法をお伝えしますね。
優しそうな人とは?
ちまたで言う「優しそうな人」とは優しい雰囲気な人のことです。
「『優しさ』ってどういうことなのかな?」と考えたことのある人ならば「本当に優しい人」ってどんな人なのか「優しそうな人」とは違うことはわかりますよね。
「本当に優しい人」は「本当の優しさを知っている人」なんです。
その理由はこの後の「優しそうな人の特徴とは」でわかっていただけると思います。
優しそうな人の特徴とは
優しそうな人の特徴は、いつも笑顔で穏やか。
相手の希望を受け入れていつも誰かに合わせてくれる。
そんなところは「優しいなぁ」と思いますよね。
そんな印象がありますよね。
しかし、誰かに合わせることが「本当の優しさ」ではないんです。
優しそうな人は、優しく思われる経験によって、人から優しくされることが多い人でもあるんです。いつの間にかそれが当たり前になっているのでしょう。
優しそうな人も、純粋に人に優しくしようと思う心を持っています。
ただ その目的が、もっと「人から良く思われたい」「大切に思われたい」「優しくされたい」という欲求から起こっているのを本人も気づいていないのかも知れません。知らぬ間に「優しい人と思われたい」という目的になってしまっているんですよね。
優しそうな人の特徴は、人に優しくすることとは関係のない「優しい雰囲気に見えること」が目的の行動になってしまっているところです。
思いやりがある
優しそうな人は、自分以外の人のことも考えることができます。
そのため、他人を思いやった行動もできます。
しかし 優しそうな人は、考え方が上辺だけの場合も多く、損得勘定が働いてしまうこともしばしば。
優しそうな人は、表面上では相手のためを思っているように見えても(本人も思いやっているつもり)ちょっとしたずるさも見えてしまうこともあります。
口調が穏やか
優しそうな人は、生まれたときから容姿が「おとなしい」「柔らかい」「女性的」な印象を持っています。
そのせいか、幼い頃から周囲からも「優しい子」という印象で見られ過ごしてきています。
大人たちは「優しい良い子」に対しては声は穏やかなトーンで話しますよね。子どもだって、自分に穏やかに話しかけられれば、同じように反応するようにもなるんです。
本人も無意識にも「自分は優しい子」なんだと思うようになり、さらにいつの間にか穏やかな口調も自分のものとなっていくんですよね。
怒らない
幼少期からの「優しい良い子」という周囲の対応は「優しそうな人」の今をすべて作っているといっても過言ではないと思います。
優しそうな人は、普段「怒る」という感情を表に出しません。それだけではなく、自分の感情を相手に合わせるということに重点を置いています。
大人になって気づく人も多いとは思いますが、人は感情があるのが当然です。そしてその感情は、自分で決められるものではなく湧き上がってくるのもですよね。
自分の湧き上がってきた感情を我慢してしまうと、他の「喜び」「哀しみ」「楽しさ」までのすべての感情が自分から消えてしまうんです。
心の中で「怒り」を感じているときに、そのままの感情を外にぶつければ、相手は暴力を振るわれたのと同じになってしまいます。そうならないためには「怒り」を冷静に相手に伝えるようにします。
そうではなく「怒り」を感じたのにも関わらず、その感情をなかったことにするのは、自分を認めてあげていないことなのです。
「自分は『優しい良い子』だから『怒り』など感じてはいけないのだ」と思って、感情を認めないことがあっては、自分がわからなくなってしまいます。
優しいそうな人は、どちらの場合でも、表面的にはみんなから愛される「優しい雰囲気の人」を演じるように心がけているんですね。
言動は人に合わせる
「どうやったら、さらに人が喜んでくれるのか?」
優しそうな人は、いつも人から喜ばれることに慣れています。
そのために人を喜ばせることが自分の使命だと思って「もっと喜んでもらいたい」「周囲の人を喜ばせたい」という気持ちが強くなるようです。
ほとんどの人にとって自分の思い通りにできるというのは、自分の希望や自己主張が叶うことでもありますので、うれしいですよね。
優しそうな人は、そういった相手の「欲」に気づき、相手の希望通りになるように言動を合わせようとします。
なぜなら、相手が喜ぶことがわかっているからです。
初めは単純に「相手を喜ばせたい」思いで相手の言動に合わせていたことも、慣れてくると「相手を喜ばせるともっと、こちらに優しくしてくれる」というメリットに気づきます。
すると、本来の自分が「人に優しくする」意味や目的が変わってしまうこともあるんですね。
このように、ただ自分の言動を相手に合わせ相手を優先していることが、優しさではないんです。
優しそうな人は、言動を相手に合わせることを優しさだと思ってしまっているんですね。本当は、その後の「自分に優しくして欲しい気持ち」を満足させるのが目的だったと気づいていないだけなのです。
自己主張をあまりしない
「優しい人は出しゃばらずに控え目で、自分よりも相手を優先する」
「だから、自分の意見をはっきりいうことはしないし、自己主張もしない」
本当にそうでしょうか?
相手を思いやる気持ちを本当に持っているのなら、相手のことを親身になって考えているのなら、どのように行動しますか?
自己主張とは「大きな声ではっきりと言いたいことを言う」だけではありません。
言葉に直接出さなくても、態度や行動で示すことも十分にできます。
優しそうな人が自己主張しないように見えるのは、自分の意思を表現することをしないからです。
自分の意思や主張を表現すれば、何らかの反応が返ってきます。その反応はいい事ばかりではありません。
どんなに優しそうに見える人に対しても、自己主張をしたことに対しては必ず反対意見や批判する声も耳にすることになります。
「そういうことをできるだけ避けたい」という思いで自己主張をしたくないだけなんです。
優しそうな人は「相手のことを思いやって自分は自己主張を控える」と自分でも思っているようですが、実際には「トラブルに巻き込まれたくない」「批判を受けたくない」という気持ちがあるんですよね。
表情がいつも笑顔
優しそうな人は、表情がいつも笑顔です。
笑顔であることは、人に「明るさ」「癒し」「温かさ」を与えてくれますよね。
それはとてもよい事ですよね。
しかし、いつでもどんなときでも誰にでも笑顔でいる人に対して違和感を覚えることがあります。
よく見ていると、口元の口角は上がっているのですが、目は笑っていないことありませんか?
接客業などをするとよくわかると思いますが、自分の感情とは関係なくいつも笑顔でいなければならない状況があります。
そんなときには、自分の感情とは違った場合でも笑顔の表情をつくることもできるようになるんですよね。
大人になれば、自分が嫌でも感情を隠さなければならないことも増えてきます。多くの方は、経験がありますよね。
「たとえ、その人の本心でなくても笑顔であればいいじゃないか」とも思いそうですが、先ほど言った違和感って何なのでしょうか?
その違和感は、無理してまでも笑顔をつくる人の意図(目的)が見え隠れしているからです。
相手に「自分は優しい笑顔の人」という印象を与えることが目的であって、誰かのためを思って「明るさ」「癒し」「温かさ」を与えることが目的ではないからです。
「あの人は優しそう」「いつも明るそう」「いつも楽しそう」という具合に、思ってもらうことが目的になってしまっているんですね。
優しそうな人が、なぜ、そういうことが目的になるかというと、いつまでも「優しくされたい」「大事にされたい」という自分自身の欲求があるからなんですよね。
雰囲気がかわいい癒し系
優しそうな人を見かけると「あの人は、癒し系だね」と言う人がいます。
こちらも思わず「そうだよね」と言ってしまうわけです。
世間の認識でも、見た目の要素で癒されるかどうかを判断してしまっていることも多いですよね。
人や動物にしてもキャラクターにしても、かわいらしい雰囲気を持つものに対して癒される感情が起こるのでしょうね。
そういったことでも癒されることには間違いありません。
しかし「優しいかどうか」で言えば、どうでしょう?
雰囲気がかわいくて癒されるものを思い浮かべてみましょう。
動物で言えば「パンダ」や「リス」などでしょうか。
しぐさや表情で言えば「いたずらな子ザルの赤ちゃんの寝顔」「おもちゃで遊んでいる赤ちゃん」などでもそうですよね。
優しいから癒されているのとは、違いますよね。
優しそうな人は、かわいくて癒されるけれども「優しいから」という理由は見当たりません。
本当に優しい人とは?
ここからは、本当に優しい人について書いていきます。
本当に優しい人とは、人の痛みを自分の痛みのように感じられる人です。
本当に優しい人は「本当の優しさを知っている人」でもあります。
ただ、いっしょに痛みを感じるだけではなく、フラット(平常心)でいる心地よさを思い出させてくれる人。
本当に優しい人は、どのように自分が行動するのが周囲の人にとって心地よく感じるのかをいつでも気にかけています。
その場、空間、時間の心地よさに意識を置いているんですよね。
本当に優しい人の行動を見てみると、本当の優しさがどういうモノかがわかります。
本当に優しい人の特徴とは
本当に優しい人は一見、特別に優しそうには見えません。
行動や振る舞いに関してもです。
なぜなら、自分の気持ちに素直に行動する特徴があるからです。
それは決して自分勝手なのではありません。
行動や振る舞いは、表立ってはそうは見えませんが非常に周囲のことを気にかけています。
本当に優しい人が一番に意識していることは、自然体でいることとその場(そこにいる人たち)の心地よさなんですね。
思いやりがある
本当に優しい人は「相手を思いやる気持ち、相手の身になって考えてみる」とは、簡単なことではないとわかっています。
だからこそ、じっくりと「本当に相手のためになること」を深く考えていきます。
手助けや助言をすることが簡単にできることであっても、あえて手を出さずにいることもあります。
相手の成長を見守ることがもう一歩先に行ったときに相手のためになると思うからです。
- 目の前のことだけではなく、相手の未来のことまで思いやる
- 今、見えていることだけではなくて、相手の見えていない背景や思いにも目を凝らす
そうすることには、とても時間と労力がかかります。
本当に優しい人は、自分以外の人に対しても、時間と労力を惜しまずに考えることができる人です。
口調はきびきびとして相手にわかりやすい!やさしい語尾で安心感がある
やんわりとした口調であることは、人間関係を良好にするためには必要なことですよね。
言いたいことをはっきりと主張してしまっては「相手と対立してしまう」「相手が委縮してしまった」なんてことも出てきます。
本当に優しい人は、自分が言葉を発する目的と意味をしっかりと持っています。
- 自分が相手に伝えたいことや相手のために言うべきことをどう伝えるのがよいのか
- 相手に不快感を与えないようにわかりやすい言葉でどう表現すればよいのか
を考えた上できびきびと話しをします。
相手に不快感を与えないために語尾は優しくすることを心がけているんですよね。
常に、相手のためを考えている覚悟や熱意が伝わってくるんです。
それは決して「君のためを思っている」とか「応援しているよ」という誰もが言うような言葉で伝えるようなことはなく、自分にしか言えない言葉で伝えようとしてくれます。
本当の優しさがわからない人にとっては、本当に優しい人の言葉から、本当の優しさを感じ取ることはけっこう難しい事かも知れません。
しかし自分があらゆる経験をしていって、立ち止まってみたときには「本当の優しさってこういうことなのかも知れない」と本当に優しい人の態度や言葉の意味がわかるのですね。
本当に優しい人は、関わる人への熱意や覚悟を持って接します。自分の行動の意味と目的を常に考えているため、きびきびとした言動になりますが、語尾などには優しさを感じることができます。
人に忠告することができる
誰かに注意をしたり、他人のことに関わっていくことはパワーのいることですよね。
ましてや他人に忠告することは勇気のいることでもあります。
責任のある立場の人でも、部下や教え子が問題を抱えていても内心では「自分とは関係ない」と思って関わろうとしない人もいますよね。
本当に優しい人はそういうときでも「面倒かどうか」とか「自分には関係がない」とは思わないんですね。
自分の目の前に見えている(起きている)状況に対して「自分にできることは何かないだろうか?」という思いをいつでも持っています。
どんなことでも他人事ではなく自分事のように考えて思いやる気持ちがあるんですよね。
考えがまとまれば、責任と覚悟を持って行動することができます。
本当に優しい人は、問題のある人と関わることを面倒と思わずに、責任と覚悟を持って相手のことを考えた忠告することができるのですね。
状況や立場をわきまえた行動ができる
本当に優しい人は、自分が今、そのことを「言うべきか」「やるべきか」ということを自分の置かれた立場や状況によって判断しています。
必要のないときに必要のないことは極力さけ、他人の時間を奪わないための心づかいをしているんですね。
その代わり、ここぞというときには、潔く判断し行動に移します。
自分の中のブレない信念を常に持っているために、迷いはないのです。
普段から信頼できる人との関わりを大切にしていることから、いつでも周囲の人を信頼しているんですよね。ですから、相手から求められなければ、自分から口をはさむことは滅多にしません。
本当に優しい人は、自分が出るべきときには潔く行動し、そうでない普段では周囲の行動を見守るような形でいることを心がけているのですね。
自分の信念を持っている
本当に優しい人は、自分のすることにブレがありません。
自分の中に強い信念を持っているからです。
その信念は、自分がお手本にする人の「本当の優しさ」に気づいた頃からはっきりしたものとなっています。
本当に優しい人は、自分の信念を持つことで決断する潔さと行動に移すための勇気(強さ)を手に入れたんですね。
本当に優しい人の信念には「いつも困っている人の力になりたい」という気持ちを持ち合わせています。
本当に優しい人は、自分が得することよりも、弱者や困っている人と過ごすことを選びます。なぜなら、弱者や困っている人といっしょに問題を解決し共に向上していく方が喜びを感じることができるためです。
表情は自分の気持ちに素直に喜怒哀楽で表現する
本当に優しい人は、自分の感情にウソはつきません。自分の気持ちを大切にしています。
自分に湧きおこった感情を素直に表現しようとします。
本当に優しい人の表現方法は、感情的にならないように心がけているんですよね。
ときには、熱い気持ちを抑えきれずに感情的になることもあるかも知れません。
そうであっても、感情的であったことはすぐに反省をし、相手に対しできるだけフラット(平常心)な状態で今の気持ちを伝えようとします。
なぜなら、感情は伝染し相手の心も乱してしまうことを知っているからです。
本当に優しい人は、自分の都合(感情)で相手を振り回すことなく自分にも素直でありたいという思いを持っているんですよね。
存在そのものが安心できる癒し系
自分の感情に素直に表現できている人を見ると、なぜだか癒されませんか?
「あぁ、これでいいんだよね」って気持ちに気づかせてもらえたような。
本当に優しい人は、自分に素直なだけではなく、周囲の気持ちも考えた振る舞いを心がけている人なので、そばにいてもとっても心地いいんですよね。
気持ちが高ぶっている楽しさとは違う、安心できてほっこりするような楽しさを感じるんです。
本当に優しい人の場合には「誰かを癒そうとか」「安心させてあげよう」と考えてはいないんですよね。
あくまでも自然体で、自分に素直で周囲の人の心地よさにこだわっているだけ。
それ以外の目的など何もない。
本当に優しい人は、ただ、そこにいてくれるだけで癒されるし、ホッと安心できる存在なんですよね。
まとめ
優しそうな人と、本当に優しい人は、見る人によっては同じように感じるかも知れません。
部分的な行動が似ている部分もあるからです。
しかし、どこかが違う。
その違いに気づけば、「本当の優しさ」にも気づくことができますよ。
優しそうな人が「本当の優しさについて」考えるきっかけがあったのなら、周囲の人から見た印象も変わります。
あきらかに「優しい雰囲気」なだけではない、芯のある強さが加わるでしょう。
「優しそうな人」も、そうでない人も関係なく「本当の優しさを知る」または「知ろうとする」ことが大切なんですね。
「優しい人になりたい」「優しい人でありたい」のなら本当の優しさを知っている「本当に優しい人」を見つけてみてくださいね。